死ぬのがこわくなくなる話 ライブ版テキスト起こし

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説明

2011年11月11日に行われたニコニコ生放送『死ぬのがこわくなくなる話』のテキスト起こしです。

連載「死ぬのがこわくなくなる話」の情報は連載ページを、書籍『死ぬのがこわくなくなる話』の情報は書籍ページを参照ください

テキスト起こしは一言一句をそのまま文字にしたものではなく、文章として読めるように整形しています(ただし「着信音」より後の部分は意図的に一言一句を文字にした形式を残しています)。また、テキストに起こしていく中で間違いや誤解釈が含まれている可能性があります。

テキスト起こし

皆さん、こんばんは。

こんばんは。

こんばんはー。僕の声こんな感じでいいですか。

映像、音声きてますか。

あ、ここは中野ブロードウェイという場所がありまして、その4階に僕はカフェを持っています。ここから時々放送をやったりもしています。仲間と集まったりもしています。そういう場所です。今日はそこから放送していこうかなと思ってます。

ちょっと今日声が出なくて、声が小さめなので、音声とか聞こえるかどうか確認していただけたらと思います。

声聞こえますか。僕の声聞こえますか。

大丈夫ですかね。すいません。ちょっと音声大きめにしてあります。

声が出ないので、ずっとこのテンションですいません。いつものようにハキハキと喋れないんですけれども、このテンションでずっと喋っていこうと思います。

音声、映像どちらもよろしいでしょうか。

声こもってますかね。

そうです。歯医者とかある4階です。そこの分かりにくいところに、謎めいた場所にカフェがあります。

はい、ではそろそろ始めます。

こんばんは。改めましてご挨拶させていただきます。私、渡辺浩弐と申します。

主にハイテクノロジーを専攻するライターをやっております。作家でもあるんですけれども、自分でメディアにずっと前から顔出しをしているということもあり、それも理由で、今非常に奇妙な体験をしております。このことをテーマにして今日は生放送で喋っていきたいと思います。

この放送、いろいろ資料をお見せしたりはしますけど、ずーっとこの調子で渡辺が喋り続けます。一人で喋り続けます。

多分エンターテインメント性はないと思います。いつものこのGTVチャンネルの、作家が集まったり、ゲームの紹介をしたりする放送とはちょっとテンションが違います。

ですので作家としての渡辺をご存じない方にはつまらないかもしれません。ゲームの情報が欲しいんだという方は、高橋名人も今放送をやってるそうなので、そっちを見ていただく方がいいかなと思います。

今日はゲームのじかんとか、ゲーム番組とか、あるいはファミ通の文章とかの感じではありません。色々深く皆さんと一緒に考えようという、勉強したり哲学したりしようというテーマです。

「死ぬのがこわくなくなる話」っていう言葉を初めて聞いた方もいらっしゃるかもしれません。「死ぬのがこわくなくなる話」という一言がもし気になったら、初めての方であっても、見ていただきたいと思います。

そうじゃない方は退屈しちゃうかもしれませんので、他の番組を見るとか、ゲームやるとか、そういう方がいいかもしれません。

ここからちゃんと説明していきます。

「死ぬのがこわくなくなる話」という文章を今年の8月13日からツイッター上で連載しています。ツイッターの機能を創作に活用できるんじゃないかなと思って企画したものです。もう連載は3か月くらいですね。連載90回を超えています。この辺で、いったん総括したうえで次の展開を発表したいと思います。

今日の放送はそういうテーマなんですけど、ちょっと事情があり、この放送をすることは、直前に決まりました。その為準備がちゃんとできてないところもあると思うので、そこもあらかじめ謝っておきます。申し訳ございません。

まず前半の30分、40分くらい、小一時間近く、ここまでのおさらいを喋っていきます。

これまでの「死ぬのがこわくなくなる話」。今まで毎日行き当たりばったりに書いてきたので、まとめて整理するかたちで喋りたいと思います。

連載は、最初は死を乗り越える方法とか、そういう辺りから始まりました。死ぬこと自体をこわがるとか考える以前の、物質的な、合理的な考え方を突き詰めていったところ、不老不死の可能性を徹底検証する、というところに話が流れました。

不老不死は、可能である、と。

現段階で皆さんが死なないこと、老化しないことは技術的に可能であるということを、いろんな資料をあげて証明していきました。

8月の中旬から後半にかけてそういう話が展開しています。

ただ、僕のツイートは事情があって当時書いたものは全部消えてしまっています。しかしTogetterでトゥギャってくださっている方がいます。今から復習として話しますが、興味がある方があったらTogetterでも見ていただきたいと思います。

僕はいろんなところでゲームの紹介とかしたり、小説を書いたりしながら、その裏側ではいかに自分が死なないでいられるか、老化しないでいられるか、という技術についてかれこれ20年以上調べ続けてきました。

僕自身がいろいろリポーター、ライターの仕事をこなしており、ネットワークが広いこともあり、いろんな情報が入ってくるという状況がありました。いろんな団体、いろんな個人、いろんな企業、いろんなコネクションからの情報をまとめてきました。

その過程を8月後半、8月の20日、21日、22日辺りに書いてきましたが、文章読むのも面倒な方もいらっしゃると思いますので、おさらいをしてみたいと思います。

科学的に死なない技術は、あります。

1つ目は、今使っているその体を、機械のように修理して使い続ける。

この考え方に至った科学者は結構昔からいました。1950年代にはフォン・ノイマン。70年代にエリック・ドレクスラー。

エリックが提唱したナノテクノロジーという概念がありました。

これは機械をどんどん小さくしてって、ミクロのサイズの機械を作る。それを制御することによって人間の細胞を原子分子レベルで修復していけば、いつまでも体は若いままでもつんじゃないかという考え方です。

本当に原子レベルで制御できるのかという話ですが、1983年にIBMの研究者が走査トンネル顕微鏡というのを発明し、原子レベルの凹凸や並び方を読み取るだけではなくて、組み替えていくというようなことを実際にやったりしました。

これに対して「まさか」というような声が世界中からあった中で、ベル研究所のエンジニアがこの走査トンネル顕微鏡を使って、原子を並べて文字を書いてみせるということしました。

原子を自由に動かすことができるってことを1980年代には研究者は立証していたわけです。

ちょっと見てもらいましょう(資料提示)。

分子を並べて作った「IBM」という文字。分子レベルで制御して、人間が思った通りに並べ替えたり組み替えたりすることができた。

もちろん実際にはもっと複雑なことが必要なんですけど、これによって人間の体を修復していくという可能性が出てきたわけです。

実際にどうやるかというと、機械に機械を作らせる。さらにその機械に機械を作らせるという原理で、どんどん小さい機械を、枝分かれ状に作っていくことによって、小さなマイクロマシンを作るわけです。

こういうアイデアが提唱されていてこれも面白い(資料提示)。

ここにチップがあって、エクスチェンジャーがあって、ここで分子をコントロールして制御する。ミジンコよりもちいさな虫みたいな機械を大量にたくさん体の中に入れて体を治していく。

ここに写真や、どういう概念かという説明があります(資料提示)。

赤血球をさっき見せた機械が治している。そういう絵です。体の中にこういう機械を大量に注射するなり、取り込むことによって、体の中の壊れたところを治していく。それによって若返る。死なないということが可能になると。

この辺、なかなか日本で分かりやすい資料がないんですが見つけました。『電脳生物たち』という本です。表紙に書いてあるこれがマイクロマシンロボットなんですよ。

この機械のアームの部分がどんどん枝分かれしていって、そのそれぞれが自律的に思考を広げていく。この網目の先で分子レベルで人間の体の構造をいじって、細胞を治していく。そういう技術が提唱されています。

この本はその他のことも分かりやすいのでお勧めです。この技術が「ロボットの仕組み」という章の中に載っています。

そのような概念が50年代から80年代にかけてどんどん提供されていきました。

それと2番目。

(咳)。ごめんなさい、声が今日ちょっとね。出ないんです。

もう一つの方法は細胞再生技術です。

細胞というのは自分で再生する力があるわけです。だから細胞が永遠に若いままでコピーされていけば、死なないんじゃないか、というアイデアです。

細胞は本当は無限に増殖できるのだけれど、ある回数分裂したら、もうそれで分裂を止めてしまう機能が、あえて設定されているということが分かっています。

テロメアという言葉を聞いたことがあるかもしれません。細胞の中にはテロメアという回数券のような機能があり、それが短くなってなくなるとその細胞は死んでしまいます。

ではそのテロメアの機能を発現しないようにできれば、細胞は無限に増殖し続けられる。いつまででも若いままでいられる。そういう技術も提唱されていて、このテロメアの研究で90年代にノーベル賞をとった学者さんもいらっしゃいます。

そうそう、癌細胞に近い。癌細胞というのはそうなんですよ。無限に増殖してしまって、それが故にいつまでも死なないから、既存の細胞に被害を与えてしまう。

癌細胞の研究によって不老不死の可能性はかなり見えてきた。細胞レベルの再生を無限にするっていう。そう、正しい癌細胞ができればいいわけですよね。コメントも読んでますよ。

不老不死の技術は、それらの理論から考えると、僕は多分あと100年後くらいに実現すると思う。学者さんによっては10年後という人もいますし、別の学者さんによってはあと50年後くらいかなっていう人たちもいます。

僕は人間の文明が進んでいけば人間が死なないでいる、永遠に生きていられる、永遠に若いままでいられるっていう技術は間違いなく実現すると思います。

ただ、問題があります。今これを見てもらっている皆さんは、多分その技術に間に合わないですね。

今、皆さん10代20代30代くらいだと思いますが、50年後にまだ若々しくいられますか。100年後だったらどうですか。

非常に惜しいんですけど、マイクロマシンの技術、ないし細胞再生技術、それらの技術が安い値段で人間に応用できるようになるまでには間に合わないという気がしています。これは皆さんご愁傷さまとしか言いようがないんですけど。

ただ、一個非常にいい方法があるんですよ。それが人工冬眠です。

そういう技術が可能になるまで眠って待っていればいいわけです。けど、ただ眠っているだけでも人間って老化していきますから、完全に体を冷凍して生命活動を中止してしまう。それが人工冬眠。

だから未来にタイムトリップして、未来で若返るなり、永遠に生きる技術を取り込めばいいという考え方があります。

この人工冬眠については世界でいくつかの会社なり、財団法人なりがサービスを実施しています。

僕はそこに行って技術を見学したことがあります。具体的に僕自身、人工冬眠する手はずを相談したことがありました。

その辺のことも8月の後半くらいに文章に書いています。僕がアメリカのアリゾナ州のアルコア延命財団(アルコー延命財団)ってところに行った時の写真が、僕のついっぷるに載っています。僕が人間の体を冷凍するタンクの前に立っている写真とか、そこの創設者と話をしている写真などが載っています。

これが申込書ですね。"APPLICATION FOR MEMBERSHIP"。申込書とかももらってきました。

皆さんもこれに書き込んで申し込めば、あなたは不老不死になれるかもしれない。

現在のところ全身を冷凍してもらうのに大体20万ドルくらい。150万くらいですかね[註:1500万円の間違いか]。頭だけを切り取って、未来がくるまで保存してもらうのに8万ドル。600万か700万くらい。

という値段が提示されています。結構安いですよね。しかもこのお金はすぐに用意する必要がなく、とりあえず年324ドル、年数万円払えば大丈夫なんです。

それはどういうことかというと、自分の生命保険の受取人をアルコア延命財団にしておけば、法的に死んだときに出るはずの生命保険料で支払いが済む為です。皆さんが一文無しでも、保険金の契約ができれば、ここに入会して体を冷凍してもらうことができます。

アルコアは結構歴史があります。最近ロシアにも大がかりな人工冬眠サービスを行う企業ができました。

ここ(アルコア)は結構老舗で1976年から始まりました。僕が行った時には7人冷凍保存されていました。今はもう何十人っていう世界かな。(資料を確認する)。98人。毎年、何人どころか十何人冷凍されていると。非常に商売繁盛しているという感じですね。

僕も実際に行って施設の中を見てきました。

こういうタンクに、人間が逆さまに入って立った状態で保存されている(資料提示)。

他にもいろいろ写真があります。これは分かりやすいですね(資料提示)。これくらいの大きさ。まさに人を凍らせようとしているところですね。

こういうALCORって書いたタンクに上からドボンと人を入れる。(資料提示)。

これは人間の血を抜いて、グリセリンを入れて、冷凍していくという施設、設備の写真です。

これは実際に行って写真をもらってきました。僕が撮ってきた写真もついっぷるに載ってます。

このちょっとちっちゃなロケットみたいなカプセルが倉庫みたいなところにがずらっと並んでいました。

そこで逆さまにされてて、タンクの中には液体窒素が入っているんですね。

常に冷凍しているわけではなく、液体窒素はぎゅっと圧力かけていたら温度は零下190何度くらいで維持される。なのでその状態なら、電気が多少止まっても圧力さえ保てたら解凍されて腐っちゃう心配はないわけです。

人がタンクの中で逆立ちになっているのは何故かというと、万一電気が止まり何週間、何か月か経って、液体窒素が漏れ出しても比重的に、温まっていくのは上からなんですね。上から腐っていっても頭は最後まで残る。

だからそれまでに、余程のことがなければ修復できるという考え方らしいです。数週間は大丈夫とのことです。

あと、これくらいの小さなサイズの缶がありました。僕はそれは子供用かなとか、猫とか犬用かなと思いました。しかし実際は、缶の中が4つに区切られてて、人間の頭が4つ入れられるものでした。安上がりに済ませたい方々は、そこに頭だけ入れて凍ってくださいということです。

ツイッターでも書いたのですが、問題は今の法律上、死ぬ前にここに行って冷凍してもらうことはできないということです。自分でいくら冷凍保存してもらいたくても。僕はそれで「えー」って思ったのですが、死が法的に宣告されてからでないと凍らせてくれない。

そうじゃないとアルコアが患者を、凍りたいと思っている人を殺したということになってしまう。あるいは自殺を幇助したということになってしまう。なので法的に一回死なないと凍らせてくれないという状況があります。でも一回死んだ後に冷凍されてもなって思っちゃいますよね。

その辺りの法律的な問題で今までこのアルコアは、色々な論争の矢面に立たされています。告訴されたりとか。その辺は講談社から告発本が翻訳されている。(原書『FROZEN』、翻訳書『人体冷凍 不死販売財団の恐怖』)

この本はアルコアに対して批判的な人が書いたものなので、いかにアルコアが無茶苦茶なことをやっているかという書かれ方です。

この放送を見ている方々は、この本も確認したうえでフェアに決断していいと思います。僕自身も決してアルコアをお勧めしているわけではなくて、こういう団体があるよって言ってるだけ。

ただ、実際に行ってみた身として『人体冷凍』に書いてあることは納得できました。あそこはとてもおかしな場所でした。

例えば、清潔さに気は配られていませんでした。さっきの写真にもありましたが、人間の体から液体を抜いてグリセリンを入れて、不凍液を入れてということを行うハイテクな機器はずらっと並んでいるが、それらは放置されている。ずらっと並んだベッドの脇に腐りかけのピザが置いてあったりとか。あと、並んでいるベッドに血のシミとかが結構ついていて、猫がそこを走り回っていたり、血のシミをべろべろなめたりするわけですよ。

衛生状態を見ると、ここで凍るのはどうなのかとも思ったけど、彼ら自身はそんなレベルで考えていないんです。死んだ人間を生き返らせようって世界ですから、多少不潔だろうが、そんなものはどうでもいいという世界なんです。

あとね、冷凍保存された人間を本当に解凍できるのかっていう問題。今たくさんコメントももらってますけど、この問題は気にする必要がありません。解凍できる時代まで待てばいいわけですから。それが100年後であれ、1000年後であれ、10000年後でもいいわけです。それまで待てばいいわけです。

ここのリーダーに話を聞いたら、その人にとってはどんな年月冷凍されたとしても一瞬だと。死んで、凍っている間は意識はないわけです。だから死んで眠って起きたらもう未来になっていて、そこでは解凍技術も存在するから体のことは考える必要はない。

これからどんなふうに研究が進むのかとか、技術がいつ頃発明されるのかということは、タイムリミットがあるなら気にしなくてはいけないが、それはないわけです。だから大丈夫だと強く言われました。これはもう信じるも八卦、信じないも八卦の世界です。

ただ、僕にはもう一つ気になることがあります。凍った細胞が復活できるかとかそういうレベルではなく、解凍されたその時に人間の記憶が損なわれていないかっていうことが非常に気になります。

記憶については、一度データがリセットされてしまったらいかにすごい技術があっても、かつてこの脳細胞にどんな記憶があったのかは復活させられないのではないかなと。パソコンだってハードディスクをまっさらにしちゃったら、どんなに頑張っても復旧できないですよね。

だから人工冬眠に入って目が覚めたら、記憶が結構なくなっちゃってるんじゃないかなと思っています。

僕は昔『BLACK OUT』っていう小説書いた時に、人工冬眠から目を覚ました中園祥子という人物を記憶喪失にさせたことがあるんです。これはそういう考え方があった為です。

身体は壊れていてもいいけれども、メモリーがなかったらそれは自分なのか、自分自身として目覚めているのかということが非常に気になりました。

人工冬眠から目覚めた時に記憶がないならば、極端な話になりますが、DNAデータからクローン再生するという考え方もあります。例えば頭だけを残して、他の体の部分はクローン再生すればいい。いや、脳だってとっておく必要はなくて、身体の肉体のほんの一部をとっておいて、未来にDNAクローンで復活させればそれでいいんじゃないかって話になりますよね。

この辺でクローンの話、クローニングの話に移りたいと思います。自分と全く同じDNAの存在を未来で作り出す。それまで自分の体の一部だけを取っておけばという発想です。

クローンについてはもう100年以上の研究がされています。皆さんもご存知かと思いますが、1990年代の後半には羊のドリーが生まれました。羊のクローン。その後もいろんな動物でクローンができるようになりました。倫理的に許されないでしょうけども、人間の、あなたのクローンだってあなたの細胞の一部から作り出せば技術的には可能でしょう。

クローニングによって無限の命を、という考え方は当然あります。これは科学技術の世界でも、SFの世界でも大きなテーマになっています。それでOKなのであれば、話は簡単です。日本にも、DNAをバックアップして半永久的に保管するサービスってあるんですよ。

僕が取材に行ったところでは「ディーエヌエーバンク」といいます。現在は社名が変わっていて、これは少し古い資料になりますね。こういう、DNAを安価で採取保存してくれる会社があります。

この会社に行ったら、こういう耳かきみたいな道具がもらえます。口の中の粘膜を採って一緒にもらったカプセルで保管する。このカプセルは簡単な処理をした上で、自分の家で冷蔵庫程度、氷点下10度くらいの環境があれば半永久的に保存ができます。ただ、自宅では停電とかしたら大変ですから、年間数千円の値段で保管サービスもしてくれる。

このようにDNAを保存しておけば、未来に復活できて不老不死が達成されるという考え方もあるが、僕はそうは思えない。

何故そう思えないのかというと、「クローン再生した自分」は果たして自分なのかと考えると、疑問に思うわけです。

(咳)。失礼。

そこを考えていくと、やっぱり脳の記憶っていうのが大事になっていくわけです。

だから、未来のいつかに、クローン技術で作られた新しい自分の身体に、バックアップしておいた自分の脳の記憶をダウンロードすることができたなら、それは自分のつながりに思えるだろうと考えるわけです。

ここまでおさらいしますと「1.不老不死の術を受けるには未来にタイムスリップすること」、「2.未来で身体をDNAからクローン再生する」、「3.バックアップしておいた自分の記憶を身体にコピーする」。

それで未来に自分が再生できる、それを修復しながら永遠に生きていくということが考えられる。

ただし、記憶をバックアップするということは、先延ばしにして未来に託すことができません。人工冬眠においても、そこが非常に大きな問題です。なんとかバックアップする方法を、今考えなければいけない。

どんどん時間も経っているので、大きく端折ります。

9月前半辺りのツイートでティモシー・リアリーさんが登場しています。彼を取材した時の写真は僕のついっぷるにも載っています。

彼が言うには、ファラオやピラミッドというのは究極のバックアップシステムなんだそうです。

細胞を壊さないようにするためにミイラという腐らないかたちで細胞を保存している。それだけに止まらず、再生のための巨大な財産として金銀財宝を一緒に保管している。あるいは再生した時の記憶としてヒエログリフ文字でいろんな文章を残している。彼らは未来で生き返ろうとしたのだと考える人がいる。

その発想は面白いけれども、脳の記憶はどうバックアップするのか、アイデンティティをどうバックアップするのか。記憶をコンピュータで保存しておいて、未来でダウンロードするという考え方があっても、バックアップ作業は今やらなければならない。

ではそれをどうするのか。それを非常に興味深い方法で提示しているのがSHINEという組織が提供しているサービスです。

SHINE。このSHINEサイトについて関わりだして連載の方向性が非常に変わりました。もしよかったら二窓で開いてみてください。

今、SHINEのサイトはここにあります。

http://shineshineshineshine.web.fc2.com

[註:今現在はhttp://shineshineshineshineshine.web.fc2.com]

これじゃまるで僕がSHINEの宣伝をしてるみたいですよね。

SHINEとはどういうところかと言うと、入会した人を不老不死にする会員制のサービスです。ここに入会すればあなたは死なない、そういうサービスが既に存在しているらしい。

今更ですけど、SHINEへのアクセスは自己責任でしてくださいね。アクセスした人に色々なことが起きているらしいです。勇気のある方は自己責任でアクセスして頂きたいと思います。

このサービス、最初は頭のおかしい人たちがやっているおかしな実験かなと思ったんのですが、しっかり読んでいくと大体のことが分かってきました。どういうことかというと非常にコンセプチャルな、インターネット上のサイトのサービスだということが分かってきました。

(飲み物を飲む)。失礼。

この趣旨を僕なりに分析したものを、簡単に皆さんに話そうと思います。

これは、皆さんが普通に使っているブログとか、SNSとか、facebookとか、mixiみたいなものの延長線上にあるもの。

つまり、自分が食べたものとか、行ったところとか、暮らしぶりなんかを日記の形で書いたりしたものや、あるいは自分の掲示板に友達が書いてくれたりとか、「こんな本読んだよ」、「こんな映画面白いよ」みたいなやりとりの毎日の履歴。そういうものって、mixiでもブログでも、あるいは携帯のプロフでも――

あ、皆がSHINEのサイトに殺到したのでサーバーが落ちちゃったみたいですね。また復活したら見てみてください。

――そこにアップされていきますよね。最初は日記とかメモとか備忘録みたいな形で書かれているけど、だんだんそれ自身が自分自身になっていくじゃないですか。それを見せれば自分の自己紹介ができるみたいな。

だんだんそこに自分の拠点ではなく、自分のコピーみたいなものができてくる。そういう感覚をSNSとか、ツイッターとか、ブログとか、プロフとかを日常的に使っていると感じませんか?

そういう作業を既に世界で何億人の人々がやっているわけです。

このSHINEの場合、通常のSNSと違うのは日記とかプロフィールとかだけではなく、個人のありとあらゆる財産を預かってくれるところです。

自分はこの本が好きだ、この映画が好きだ、あるいは自分の宝物はこのゲームだというと、それを全てデータ化してバックアップしてくれるのです。

例えば服でもなんでも、送れば3Dデータ化して実物は捨ててくれるということも、どうやらやってくれているらしい。

自分の関係しているもの、それは財産であれ、日記やつぶやきであれ、それらすべてをアーカイブしていくサービスだということが分かってきました。それによってネットワークの中に自分のコピーを作っていくことを可能にしているサービスである、と。

もう一つ大事なことになります。これは一番大事なことですが、このネットワークサービス上においては生きている人と死んでいる人を分けないのです。死んでいる人のページも、生きている人のページも同様に続くわけです。

皆さんmixiとかfacebookとかやってて、こんな経験ってありませんか。そのページの持ち主が死んじゃってるって状況。

こういうの見たことありませんか。ページの持ち主は死んじゃってるけれども、そのページは開きっぱなしになっていて、いろんな人が普通に書き込み続けてたりとか。

中には周りが1ヵ月や2か月間、ページの持ち主の死に気づいていない状況や、遺族の人たちが意図的にあけっ放しにしていて交流の場になっているところもあります。

そこにおいては、外側から見ればページの持ち主は死んでいないわけです。生き続けているわけです。

そういう状況をもっと意図的に続けようという戦略をSHINEは持っているということです。

しかもそこには、その人の人格の全てがある。その人が好きだったもの、財産、その人が書いたもの。

更に言うとその人が見たもの全てがアーカイブされています。SHINEの会員はこんな小さなカメラをずっとつけて生きています。その映像もずっとアーカイブされていくので、その人がSHINEに入会してからの視界の全て、記憶の全てがそこにアップロードされるということが行われているらしいです。

僕がこのサービスを便利かな、面白いかなって思った点があります。このサービスでは自分のデータや秘密がアップロードされていきますが、自分の死後にそれらのデータをどうするのかを細かく設定できるんです。

例えば、生きている間はこのデータは公開しておきたいけど、自分が死んだら削除してほしいデータってあるじゃないですか。皆さんにもありますよね。もし自分が突然死したら、パソコンの中のこれとこれのデータ、誰か消してくれないかなとか。

あるいは、部屋にあるこの本は誰かにあげたい、もしくは売り払われてもいいけど、この薄い本は誰も知らないうちに燃やして処分して欲しいみたいなことあるじゃないですか。そういうことをあらかじめ設定できるんです。

このデータは死んだ後に削除する。あるいはこのデータは死んだ後に親しい友人のこの人とこの人にあげてほしい。あるいはこの写真については死んでから10年後に自分の子どもに見せてほしいとか。そういうことを細かく設定しておけるんです。

それは面白いというか、お墓の新しいかたちというか、人間が死んだ後も生き続けるための技術とでも言うべきものが、SHINEのサイトにいっぱい入っているということが分かってきました。

このSHINEのサイトは文章も非常に見辛いし、まるでポケモンフラッシュのようです。読んでいると洗脳されてしまうのかもしれません。

更に衝撃的な話があります。この会員制サイトのもう一つの特徴です。このサイトは遺伝子バンクのサービスも提供している。DNAのバックアップもこのサイトに入ればやってくれるんです。

入会したらすぐに自分のDNAをフリーズドライ状態にして――ただ冷凍じゃなくて乾燥らしいのですが――何千万年と保てるかたちにして保存してくれる。これはさっきのアイデアと同じようにクローニングの技術が発達した時点で肉体を再生してくれるということです。

だからここに入れば、自分の記憶、アイデンティティがバックアップされた上、死後、いつの日か自分が甦る。SHINEサイト上の自分の記憶データをその新しい体にダウンロードしてくれる、そういうサービスです。

非常に謎の多い団体ですが、不老不死というテーマについては、多分一番世界で進んだ考えを提供している団体なのではないかと思い、僕はこだわったわけです。

ただ皆さんに勧めているわけではありませんからね。ここと関わって何かあっても責任は取りません。ただ、SHINEという存在があるということを共有しているだけです。

次の話にいきます。連載はSHINEというサイトを見つけてから、SHINEについて客観的に話をするというかたちになっていきました。

そこでSHINE側から僕にアクセスがあったんですよ。皆さんにもSHINEからアクセスもらっている人とかいます? SHINEからメールが来たって人はいますかね? いたらコメントを書き込んで頂きたいです。

僕のところにアクセスがありました。この流れは9月の10日過ぎから記録されているので興味があったら見て欲しいです。

ただ、SHINEの人と直接会ったり電話したりってことはできませんでした。なのでツイッター上での対談というかたちで、インタビューを行いました。

この流れで代表と名乗る――本当に代表なのかは分からないのですが――SHINE代表と称する方からいろんな話を聞き出すことができました。

僕がこだわって聞いたのは、DNAクローンでもう一人の自分を作る。そこに記憶を注入した時にそれを元の自分の延長と思えるかということでした。僕はここにちょっと抵抗があって。ここをどう考えているかを聞いたときのやり取りがすごく面白かったんです。

そこのところを読んでもらってもいいんですけど、分かりやすいように話しますと、こういうことだそうです。

人間の全身の細胞は3か月程度で全て入れ替わっているそうです。もちろん歯とか骨とかの死んだものについてはもっと残るけども、アクティブに活動している細胞は、物質としては3か月程度で入れ替わっている。つまり3か月前のあなたと今のあなたは、既に別人になっているということなんですね。

でも、記憶こそが自分だという考え方で言うと、その身体の中にある記憶はずっと自分のものだから、その記憶を持っている自分は自分じゃないかって思うじゃないですか。

ところが、記憶自体も脳細胞の中でパスを繰り返したり、コピーを繰り返したりしているので、オリジナルのものはあっという間に消えちゃうらしいんです。

つまり人の書いた本を読んで、その人の経験を疑似体験するのと同じようなことが脳の中で行われている。大元の記憶と変わってしまっている。パスされる過程で記憶は捻じ曲がるから、本物の記憶は全く残らないということなんだそうです。

皆さんにも考えていただきたいのですが、3歳とか5歳の自分を思い出した時にその頃の自分と今の自分が本当に同じものだと思えますか?

もしかしたら3歳5歳の頃に自分は死んでいて、クローン再生した身体に3歳5歳までの記憶をコピーされていたとする。それが今の自分だとしてもそんなに変わらないと思いませんか。

あるいはもう少し年輩の方でお子さんのいる方は。生まれてすぐの小さな頃のお子さんと今の大きくなったお子さんを比べて、100%同じ人だと言えますかね?

あの子がいなくなって、DNAから新しい子を作った。そしてあの子の記憶を全部取り入れたと思ってもそんなに違和感はないと思いませんか?

そういうことを色々話してきて、SHINEがやっていることは皆さんが自然にやっていることを、もっと大がかりに時代を超えて行っているんだっていう話をしました。

そこで、SHINE代表の「記憶はあなたの存在を保証しません」という言葉から出てきたのがオバマ仮説です。「オバマ仮説」ってググっても多分出てこないと思います。僕が勝手に作った言葉です。

あなたの記憶がオリジナルのものではなくても、改変されていても、あるいは記憶が全部すっぽり消えてしまったり、入れ替えられたりしまっても。あなたは記憶に関わらずあなた自身なんだという前提で言うならば。

突飛な例え話なんですけど、魔法使いがあなたの前に現れたとします。魔法使いは「あなたは今すぐに世界の誰にでもなることができます」と言いました。あなたがオバマ大統領になりたいと思ったなら、魔法使いはあなたをオバマ大統領にしてくれます。

ところがあなたは自分がオバマ大統領になったとしても、入れ替わりに気づかないと思います。オバマになったあなたは肉体も記憶も全部オバマですから。オバマとしての日常を今まで通りに続けるだけです。かつてあなただった時期のことは完全に記憶からなくなっているわけです。

そう考えると、もしかしたらあなたは魔法なんかなくても、実際にいろんな体を転移している可能性がある。

今のあなたが次の瞬間、この僕になったとします。でも僕はちっとも驚きません。記憶と体はここにあるわけです。記憶も物質的なものです。そういうものを引き継いでいるのですから、全然驚かずにそのままの日常を続けていきます。

そういうところから、本当の自分はどこにいるのかというようなやり取りをしたり、僕自身考えたのが10月の中旬から後半のことです。

その10月の後半くらいに、ペンローズという学者の話が出てきます。この辺から多少難しくなるんですけど、ツイートを読むよりは簡単だと思うので聞いて頂きたいです。

自分って、本当の自分って、自分を自分と意識する自分って、どこにいるんだということを考えます。

それは体にいるのか。でも体って一部なくなっても、自分ですよね。例えば頭しか残らなくても自分は自分だと思えそうだ。もしかしたら顔がなくても、脳みそが残れば自分は自分だと思えそうです。

では脳細胞を削って小さくしていった時、どこまで小さくしていけるのか。どんどん小さくしていって、脳の神経細胞の分子レベルの中に本当の自分がいるかもしれない。

(咳)。失礼。ちょっと喉が。ちょっと聞き取りづらいですかね。ごめんなさいね。

そこで分子、原子レベルよりももっと小さい世界まで考えていこうとした時、ペンローズの量子脳仮説について話が広がりました。

量子って分かります? 魚捕る漁師じゃなくてですね。「量子」ね。

粒子よりも更に小さい、宇宙を形成している物質まで世界をズームアップしていく。そうなると、存在と非存在の間にあるもの――ものって言えるのかな――波動みたいなものが見えてくるわけです。

この量子については研究が進んでいます。存在と非存在の間にあるが故に0でも1でもない特性を利用し、コンピュータのチップとして使えば、1ビットの中で0でも1でもない重ね合わせの状態で計算が進められる。

量子コンピュータが実現したら超並列計算ができるので、劇的にコンピュータの計算が速くなると言われています。

量子コンピュータは理論的には可能だと言われているのですが、なかなか実用までには至っていません。実験レベルでは上手くいってるところもあるのですが、実用レベルにならない理由として、量子の振る舞いは光や熱や電磁波等の外部からの影響に極めて弱いということがあるんです。それ故になかなか量子コンピュータが実際に稼働できないところがある。

ところがペンローズの主張を訳してみると、細胞の中の一番小さい一単位を構成する要素まで見ていくならば、そこでは量子コンピューティングが実現しているんじゃないかっていう話なのです。

この辺りは、高校生以上の方にお勧めな本なのですが『心の影』の中に書いてあります。脳細胞のニューロンを形成する微小管という、チューブの組み合わせみたいな形の構造物質があります。これが細胞の構成要素の一番小さな要素です。放送の中では時間の都合もあって詳しくは話せませんが、興味があったらこの本を読んでみてください。『心の影』の下巻に載っています。

微小管はそれによって絶縁導波管として外側の影響を内側へ一切与えない状況が成立している。

その中では、量子コンピュータを実現するために必要な超伝導、超流動(超誘導?)の現象が起きている。要するに量子的に重ね合わせられた異次元との質量移動が実現している。

人間の意識はその異次元から生まれているのではないかという考え方をペンローズは提示しています。

この辺の話は『心の影』が難しければこういう本があります。講談社ブルーバックスの『心は量子で語れるか』。これが割と分かりやすい。大学生くらいの方は『心の影』を読んでください。あるいは『皇帝の新しい心』っていう本もあります。もっと知りたい方はペンローズの原書や翻訳書当たられるのもいいと思います。

そうそう、ゴーストとかそういう話です。ゴーストってどこから来るのって話ですね。そうそう、常温で起きるんですよ。量子の重ねあわせの状況が。

その原子よりも小さな量子レベルの振る舞いが心の根源だという考え方が非常にリアルな形で提示されています。

量子コンピューティングとはどういうことかというと、間違っていますけど簡単に言うと。この世界で計算していると限界がありますよね。だからその計算式を異次元に投げてしまうんですよ。異次元だったらこの世界と時間の流れが違うから、この世界なら1時間かかった計算が1秒で済んでしまう。正しくない表現で無茶苦茶に言ってますけど、そういうようなことです。異次元との繋がりによっていろんな思考が行われるということが実現します。

量子テレポーテーションという概念を聞いたことがあると思います。もつれの関係にある量子を観測することができるならば、片方の量子をいじればもう一方の量子に反応が出ることを確認できる。これは何万キロ、何光年離れていても瞬時にお互いに影響が出ることが分かっていて、これによって通信ができます。

今までは光より速い通信はできませんでした。しかし量子の通信を使えば光のスピードを超えるネットワークができるという考え方があります。でもそれは情報が伝わるだけなので、これによってタイムマシンが実現するということではありません。

ツイッターでは10月30日くらいに書いたことですが『アバター』って映画ありますよね。その中での惑星パンドラの住人ナビイとそこに宇宙船で近づいて行った人類との交信。

あれってDNAレベルでシンクロさせて乗り移っているじゃないですか。あれは今までみたいなネットワークゲームでの通信とか、遠隔操作ロボットみたいな感覚だったら、あんなに素早く動けないんです。

でもDNAレベルで共振してたら光の速度どころか、同じ瞬間に同じ動きができるという考え方。あれは完全に量子通信の概念を取り込んでいます。光とか電波による交信だったら限界があるけども、量子通信だったら全く時差のない交信が実現できる。

双子の話と同じですよ。双子の片一方を殺したら片方はビクンとなる。両者の間に光や電波はないけれども、DNAレベルの共振があるんじゃないかと言われている。それに近い話です。

量子通信は、科学の最先端の人達が研究を進めています。実現まであと1年か100年か分からないが研究を進めている方々がいらっしゃいます。僕はSF作家ですから横できゃーきゃー言ってるだけですけど、現場の科学者の方達は苦労しているのでリスペクトしたいなと。

ただ、こういうことを知った上でアバターを見るとかSF作品を読むということにとても意味があると思っています。

話を戻しますが、もしかしたらあなたの脳の中の意識は量子通信によって別の世界からきている可能性があるわけです。別の世界からあなたをコントロールしている、あるいは乗り移っている人たちがいるのではないか。

自分を自分だと思っている量子状態がどれくらいの時間続くかということを調べました。いろいろな資料に当たりましたが脳の中の意識についての量子状態が何分間くらい維持されるかと言うと約大体10分程度とのことです。

この『ポスト・ヒューマン誕生』という本はぶっ飛んだ本ですが、いろんな資料を集めて書かれた本で、資料性はしっかりしている。ただ僕はこの本はSF小説として読んでほしいです。資料性としてはしっかりしているので、参照すると511ページに微小管の半滅期は約10分程度と書かれています。10分くらいで脳の中の意識が生成される部分の状況が変わってしまうわけです。

ちょっと聞いてください皆さん。10分間であなたはあなたじゃなくなるかもしれないわけです。今信じていないと思いますが、あなたは10分後にぱっと別の場所で目覚めて「え、渡辺の言ってたこと本当だったじゃないか」って思う可能性があるわけです。

でもその時には、あなたの物質的な体と意識については別のヒトが入ってきているから、あなたの器はあなたのかたちを受け継いで生き続けるだろうと言えます。

つまりあなたは10分おきに入れ替わっている可能性があるわけです。

ではあなたは10分後にどこに行っているのかを考えたいと思います。あなたは10分後に僕のところに来ているかもしれないし、オバマ大統領のところにいるかもしれない。芦田真菜ちゃんの中にいるかもしれません。

もしかしたら量子通信で異次元の世界に帰って、「あー面白かった、このゲーム」と思っているかもしれないですよね。その可能性も無きにしも非ずですよね。

話を端折ってしまいましたが、ここまでが11月の頭までのツイートです。ツイートを見てもらえたら、分かりやすくはないかもしれませんが、端折ってしまった部分がもう少し詳しく書かれています。

ここまでが連載で今まで書いてきたところです。ここから先は新しい話をします。

ずーっと一人で話すの大変ですよね。ちょっと待ってくださいね。

(咳)。

SHINEの正体を推測しようという話です。

今までSHINEの思想を掻い摘んで話してきました。

10分ごとにあなたは脳細胞の奥底に戻っていって、そこから量子通信によって別世界に行く。つまりあなたは10分おきに死んでいると言えるわけです。10分後にあなたは、今のあなたの体の中にいないわけですよね。

そう考えたらSHINEとはなんなんだろう、と。そこにSHINEは気づいているはずなのに、何の為に不老不死を提供しようとしているのかということを通じて、SHINEの本質とは何なのかっていうことを考えました。

突拍子もないのですが、SHINEの正体を考えると「DNA」じゃないかと思うのです。

DNAという存在は人間自体ではないんです。人間や全ての生き物に乗って、あるいは乗せて、長い時間生き続けているそういう存在です。

その存在が、いかに生き延びるかということを考えると、一匹一匹の生き物や、一人一人の人間が生き残ることに意味はありません。むしろどんどん死んでくれて、入れ替わって、新しい乗り物に乗り続けた方が、生き長らえることができる。

DNAとは情報なんですけど、例えば情報を石とか金属に刻み付けてもせいぜい100万年経てば壊れてしまいます。

もっと10倍、100倍保たせる為の、一番いい方法というのは、柔らかい情報の乗り物に乗って、それに子供を作らせ、子供の子供を作らせて、ずーっと乗り続けるということなんです。

そのDNAの戦略によって、人間は生かされたり殺されたりどんどん死にながら生きてきた。人間だけでなくすべての動物がね。

ところがあまりにも一個一個の人間が、自分と言う存在の死をこわがり始めた。それによって人間全体が滅びてしまうかもしれないという状況になってきた。

それを防ぐためにはどうするべきか考えるとDNAをバックアップする方法が考えられます。

今生きている人間のDNAをバックアップをしておけば、25世紀にあるウイルスが流行っても、DNAはそれに対応できるかもしれなません。あるいは今滅亡しそうな民族のDNAを保存しておけば、原発事故で放射能が覆ってもその民族のDNAなら耐えられるかもしれない。

そういう可能性があることを考えると、あらゆる種類のDNAを保存するということは非常に大切です。地球上ではDNAは滅亡していっている。一方で、一部の人間が凄く長生きするようになっているという状況を変えていかなければなりません。

DNAをバックアップするシステムとして見たらSHINは、ハイファンクショナルだということが言えます。

例えば国家レベルで、DNAをバックアップするから提供しろと言ってもそれは不可能だけれども、SHINEに入った会員達は喜んでDNAを提供します。DNAの持ち主(自分自身)についての記憶情報も提供する。費用についても自ら提供しています。

DNAの根源的な意識体のようなものが浮上してきて、このシステムが回り始めたんのではないかというのが一つ目の考え方です。

二つ目は、DNAのもっと前の段階として、DNAを作った存在があるのではないかという考え方です。

これは全て思考実験です。ただしサイエンスフィクションではありません。シミュレーションフィクションです。

DNAを作った"何か"みたいなものを想定してみたわけです。

さっき量子通信のことを話しました。皆さんの意識が量子通信によってこの世界と異次元の世界で行ったり来たりしている可能性を申しあげました。

その行ったり来たりしている存在の中に、記憶とか自我のある存在がもしいたとしたら。それはあるいはあなた自身かもしれないのですが、異次元の向こう側にいる存在が自意識を持っていたとしたら、その存在は今の地球の状態、宇宙の状態をどう考えるでしょうか。

彼らにとってこちらの世界に現れることができる扉はDNAしかないわけです。彼らはDNAを扉にして行ったり来たりしてるわけですよね。

僕らはこちらの世界で生きているわけですよね。人間として、あるいは動物としてね。虫がいたりするわけです。みんなDNAを持っているわけです。

彼らは10分おきにあっちの世界へ行ったり来たりするんだけど、それはDNAという出入り口があるからできるわけですよね。

あちらの世界にいる存在がどういう状態になっているのかは分からない。ゲームをプレイしているような感覚になっているんですかね。皆さんがゲームをプレイして、マリオになっているとか、勇者になっているような。

こちらから彼らのことを知ることはできない。ただ、唯一彼らが現れることができるのはDNAという仕組みがあってのことです。

だからDNAが滅亡したら、彼らはこちらに出てくることができない。永遠にあちら側に閉じ込められる。

この量子通信の向こう側の存在を「量子自我」と僕は名づけました。

仮に量子が自我を持ったいたらという話をしました。

量子自我が実際に存在するならば、彼らは何をしなくてはいけないかというと、DNAという存在をなくさず、安全に保存することを考えざるを得ないわけです。

DNAのバリエーションが多いことも、DNAの保存に役立ちます。

そのことも含めて、SHINEというサイトを使ってDNAのバックアップをしてDNAが滅びないようにした上で、いかに人間を殺すかいかに生かすかをコントロールしている可能性を考えてもいいのではないかと思いました。これも突拍子もない話ですけども。

時間がないのでどんどん飛ばしていきます。

今後、人間はどう進化していかなければいけないのかということです。

人間は一つのテーマとして一人一人の不老不死を追い求めている、ということが文明の大きな目的としてあります。

それが正しいのか、それともDNAの目論見に従って、よく死によく生まれるということが重要なのか、あるいは量子自我の意図に従ってDNAを長続きさせていくべきなのかということを考えたりもします。

今コメントで「とりあえず宇宙進出」って話がありました。ちょっと宇宙の話をしたいと思います。量子自我にとって一番こわいことは何かと言うと宇宙が滅亡することなんです。

宇宙はいつか終わりますよ。宇宙がいつか終わることは間違いない。しかし、これを止めないと量子自我にとってはこっちの世界に入ってくるということができなくなるわけです。

意識的にそっちの方向に頑張らない限り、放っておいたら滅亡します。そのレベルで来たるべき最大のピンチを防ぐために、人類を量子自我がDNAを使って進化させるみたいなことがあり得るのではないかということを思います。

(携帯の着信音)

電話が。話の途中なんですが、実は今日あの、この電話を待っていまして。出ます。出ますよ。

もしもし。もしもーし、もしもし。なんかシューって音がしますね。シュー。もしもし。もしもし。お待ちしていますよ。もしもし。あの、お待ちしていますが、サヨコさんですか。もしもし。もしもーし。切れた。

すいませんちょっとね。今日実はですね、この放送で皆さんにちょっと訴えたい話したい、話してほしいことがあって、電話を頂いてってことだったんですけど、ちょっとこっちからかけてみますね。

出ないですね。出ないですね。なんか今日実はいろんな事情があってですね。えー、放送中に、いろいろやりたいことがあったんですけど、ちょっとアクシデントが。

あ、メールが入ってますね。ちょっとメールが今届いて、ちょっとこの番組のですね、あの内容に関わる、今まで話してきたテーマの延長で話そうとしてきた人からちょっとメールがありまして、これは読み上げるより時間かかりますけどツイートしちゃいますかね。皆さん僕のツイッターって見てます?

ちょっと待ってくださいね。ツイッターにツイートすればいいですかね。ちょっとツイートしてみますね。

え、ごめんなさいね。時間の中でちょっとあれですけど、読んじゃいますか、読んじゃいますか? 読んだ方がいいかな。

ね、読んじゃいます、読んじゃいます。ツイートするよりもね。えーちょっとある、実は、あの言っちゃおうかな、SHINEの会員さんから。SHINEの会員、皆さんの中にいらっしゃいます? 自分で会員だって言える人います?

あのー、会員ですと名乗って、顔出しをしてもらえそうな人がいらっしゃったので、えー、今日セッティングをしていたのですが、ちょっと後でツイートしますけど「声が出ません。メールします。手遅れです」。読んじゃっていいのかな。「こんな風にこう書いている私が私として書ける」どうのこうの、字、ちょっと乱れていますね。「書ける時間もあとわずかです。最後にお願いです。私のことを信用しないでください。この後私が言うこと、それは私の言っていることではありません。その私はもう別人です」。わけの分からないメールが来てキャンセル、かな。ちょっとすいません、もしかしたら、あと15分しかないので本当はそろそろあれなんですけど。

なんとかなんかちょっとね、ごそごそ音がしているので直接来たのかな。

ここは中野ブロードウェイの4階で誰でも来られる場所です。彼女にも一応場所は教えてあります。なんかちょっと誰かが来たみたいなのでえー、いろんな可能性があるんですけどちょっと放送をやりながらなんで、なんで放送をやりながらかっていうと。

(ノックの音)

ハイちょっと待ってください。

出てみます。出ますね、皆さん見ててくださいね。出てみますね。もし僕が殺されたら証人になってくださいよ。

(来訪者に応対しに行く)

えーっとですね、ちょっと彼女がくる代わりになんか荷物が届いたんですけど。これ全然仕込みじゃないですからね。どうしましょう。普通にバイク便でした。これでもね、あれなんですよね。あ、(カメラの向きを)戻しますかね。

これ、こういうのってあの、ね、今から15年くらい前にちょうどこういうようなカルト教団と対応したジャーナリストとか、あるいは都庁とかにこういうものが送られてきてですね。それで、開けたら爆発したとかそういうことが結構ありましてですね。

ただ、なんで僕がこういう生放送を重視するかというとですね。生放送の最中にこれを開けて爆発したりとかですね、粉が飛び散って僕が倒れたりとかですね、これが証拠になるわけですね。で、それで、僕がどういうことをやっていたかみたいなことをですね多くの人が分かってくださると、だから、皆さん、どうしまよう。大したものじゃないと思うんですよ。ちょっと宛名書きとかが気になるくらいですけど。

軽いですよ凄く。

ちょっと、こういうのは一人でも見てくれてたらいいと思うんです。見たくない人はちょっと、今裏で何やってますかね、初音ミクやってますかね。

箱が入っています。箱ですね。ちょっとこれはどうしましょうね。

生放送やってるとね、全然こわくないんですよね。こういうことがね。

これが、箱が入っていました。なんか、電子的なものは、重いものは入っていないですよ。

開けますか? どうしよう。どうしよう。放送やめて、やめてから開けた方がいいですか。皆さんどうしましゅ。どうします。声が震えて。

開けます? じゃあこれで放送終わって何が入ってたか後でツイッターでっていうのはどうでしょう。

もしだから明日以降僕がツイッターしなかったら誰か通報してくださるみたいなね。

でもまあ放送しないとまずいだろうね。ちょっと待ってくださいね。

開けます。

まあ何かゲームソフトか何か届いたのかもしれないですよ。

開けましょう。

周り片づけて。

開けます。

これ、開ける場所ちゃんと印ついてて開けやすいようになってますね。

なんかちょっと抵抗があるんですよね。

なんか、なんですかね、これ。

なんか血がついてるよ。

血じゃない? これ。

なんだこれ。

うわ、なんだこれ。

ちょっと見えます?

なんか包んであるよ。

ガーゼ。ガーゼみたいな。

ちょっとこれ、ごめんなさいね。BANされたらごめんなさいね。

ガーゼみたい。なんじゃこりゃ。

なんか匂うね。

うわ。

分かりますかね。

生爪。

なんか肉とか血とかいっぱいついてる。


このページの最終更新日時 : 2013年07月11日01時14分